英国旅行記
朝起きたらすぐに身支度を整えてホテルを出ました。英国3日目です。
早朝のキリッとした寒さの曇り空の下、テムズ川沿いを東に向かって歩きます。川沿いではまだ早い時間なのに思ったよりも多くの人がいて、子供たちがシャボン玉を飛ばしてはしゃいでいたり、スケボーの練習をする人がいたり。テムズ川沿いは市民の憩いの場であることを再認識しました。朝ごはんは通りがかったBlackfriars station(ブラックフライアーズ駅)の中にあるFCB Coffee Blackfriarsで買ったシナモンロールでサッと済ませました。
さて、一体どこに向かっているのかまだ言っていませんでしたね。3日目はロンドン散策の日、そしてかの有名なTate Modernに行く日だったのです!Tateは国内外問わず20世紀以降の美術を収集した美術館です。今回日が少ないことから大英博物館は断念したので(以前少しだけ覗いたこともありますし)、代わりにこの美術館に行くことをとても楽しみにしていました。
朝食を終えてもう少し歩くと、曇り空にそびえ立つ塔のような外観の美術館が見えてきました。帰ってきてから調べたところ、旧バンクサイド発電所を再利用した建物らしく、その圧巻の佇まいにも納得です。見た目はこのようにどこか無機質な工場のような印象ですが、入ってみると中は綺麗で開放的な雰囲気。簡単な荷物検査がありますが、入場料は無料です。
Tateは無料の常設展と有料の特別展があります。特別展が3つほど同時に開催されており、せっかくなのでそのうちの一つ、上の写真に宣伝も出ているOlafur Eliasson(オラファー・エリアソン)の”IN REAL LIFE”を見ることにしました。特別展の開始時間は開館時間よりも遅かったので、それまで常設展を見ることにしました。
常設展のスペースもかなりの広さで、最初に入った部屋は絵画が多く展示されている部屋でした。そこにはクロード・モネの「睡蓮」シリーズのうちの一枚や、ピカソの絵画と彫刻、ダリの絵、そして関心のあるGerhard Richter(ゲルハルト・リヒター)の作品群もあり、それから数多の名前も知らない作家の素敵な作品群。絵画も写真もインスタレーションもなんでもあり。なんとか英語の作品解説を読み解きながら、時に友人の早口美術トーク(英語)を聞きながらたくさんの作品の中をまさに彷徨い歩きました。(館内は写真撮影OKなのでばしばし写真も撮りました)
さて、常設展全てを見終える前に特別展の開場時間となり、会場へ向かいます。
チケットを見せていざ入場。Eliassonの作品の模型が並んだスペースを抜けると、いよいよ様々な展示のお出迎えです。彼はデンマーク出身のアイスランドの芸術家で、環境問題への関心をインスタレーションや写真、彫刻など多岐にわたる作品で表しており、日本で展示されたこともあるようです。
壁一面が柔らかい黄色い苔で覆われた作品(Moss wall 1994)、霧で満たされ、すぐ目の前の人影を頼りに歩くしかない廊下(Din blind passenger (Your blingd paseenger)2010)、溶けていくアイスランドの氷河の写真をアート昇華させた作品(Glacial currents (yellow, sienna)2018)、一瞬の稲妻が照らし出す噴水(Big Bang Fountain 2014)……約40個ほどの作品が展示され、現代アートにあまり馴染みがなくても楽しむことができ、そして考えさせられる作品たちでした。
下の写真のYour uncertain shadow (colour) 2010はアートの一部となって楽しむことのできる作品で、たくさんの子供たちがはしゃいで影を作っていました。このように参加型の作品も多く、またスタジオを出てプロジェクトを立ち上げることもある精力的なアーティストのようです。
会場の外側にもいくつか作品が展示されており、その中でもエレベーターホールを照らすいくつもの黄色いランプの作品(Room for one colour 1997)が印象的でした。強い黄色い光の下では誰もがモノクロのように見え、人間をいい意味で画一的なものに見せようという試みなのかと考えさせられました。他にも屋外に噴水なども設置されており、会場を超えて作品が展開されていました。
興味のある方はぜひ調べてみてくださいね。
さて、展示を見終わるとすでにお昼の時間をすぎていました。午後はショッピングの予定だったので、常設展の残りは翌日見ることにしてお昼ごはんを食べるお店を探します。ショッピングをする通りに行く途中London Bridgeを経由するルートがあると友人が提案してくれ、歌にもなった橋をぜひ渡りたいと、とりあえずLondon Bridgeへ向かって歩き出しました。余談ではあるのですが、確かLondon Bridgeの改修工事が行われる前は橋桁が狭く、冬になるとテムズ川が凍り、ヴィクトリア朝時代ではスケートなどを楽しんでいたらしいです。
ほどなく人がたくさん集まった場所を発見。そこはBorough Market (バラ・マーケット)でした。マーケットにはたくさんのお店が出ており、肉に魚、チーズにお菓子、パンに野菜、なんでも売っています。調理したものをその場で食べられるお店もいくつかあり、お昼はマーケットで食べることに決めました。
まるでファンタジー世界のような賑やかなマーケットが現実世界の生活に根付いているのにとてもワクワクし、そして並んでいるもの全てが美味しそうで、ここで日常的に買い物をして料理をする生活を夢見てしまいます。知らない野菜や見たことのないチーズやお菓子など、本当にファンタジーの世界に迷い込んだみたいで、色々なお店を覗くのに夢中になってしましました。見つけたお洒落なオイル専門店では、ずらっと並ぶ瓶の中、初めて見るオイルやお酢をたくさん試食させてくれ、ローズマリーの香りのオリーブオイルを購入しました。本当はチーズやハムのかたまりをお土産にしたかったのですが、持ち帰りが大変なのと日本の税関で引っかかるので断念しました…。
マーケットを巡るうちにたまたま来ていた友人のお姉さんとお会いしたり、ミルクで蒸したムール貝を食べたり、ジンジャー・レモネードが濃すぎてむせたり、わいわいと賑わうマーケットの雰囲気をたっぷり堪能し、London Bridgeを目指しました。
London Bridgeからはさらに東にあるTower Bridge とLondon Towerを見ることができ、これこそまさにロンドン!という景色です。友人は、みんなTower Bridgeの方に行きたがるから、London Bridgeを喜んでくれて嬉しいと言っていました。そして二人でLondon bridge is fallig down♪と小声で歌ってみたり。おのぼりさんに見える?実際おのぼりさんですもの!
さて、ショッピングの目的地まではまだまだ道のりは長く、徒歩で頑張りたかったのですが、ショッピングの前に疲れ果ててしまいそうだったのでTubeに乗り込みました。
到着したのはRegent Street、そう、英国版銀座。ここにない高級ブランドはない……というレベルでCHANELやらRalph LaurenやらTiffanyやらSuper dryやら有名店が勢揃いです。街並みもどこか高級感をたたえているようで、ユニクロのウルトラライトダウンを着ているのがほんのちょっと恥ずかしくなったり…。ZARAもユニクロもあるのですけどね。
ここでお土産用の紅茶を買うつもりだったので、友人が教えてくれたFortnum & Masonよりも安い価格帯Whittadというお店に行きました。どうやら日本ではないらしく、お土産にピッタリです。友人から頼まれていたものや、家用にたくさんの紅茶を買いました。
それから高級店の黒いコートと帽子のドアマンに見惚れたり、雑貨屋さんでお土産を見繕ったりしていると、Waterstonesという本屋さんを見つけました。大きな本屋さんで、お洒落な店内にはたくさんの本が並べられています。思わず猫の詩集と写真集をジャケ買いしたり、日本人作家の本を探してタイトルの翻訳を楽しんでみたり。海外では単行本かペーパー・バッグになるので、文庫本よりも版の大きい本がずらりと並んでいる様は圧巻です。ディスプレイも上手で日本の本屋が学ぶべきことも多いな…と感じました。
それからせっかくなら本場のアーサー王伝説の小説がほしい!と友人に聞いてみたところ、彼女はアーサー王伝説をほぼ知らず、売り場も見つけられずで広大な本屋の中を彷徨うことになりました…。それはそれでいろいろなジャンルのフロアを覗くことができ、冒険みたいでとても楽しかったです。そして友人の協力あってなんとか2種類見つけ出しそのうちの一つを購入。英国にきて一番お金を使ったのがこの本屋さんでした。
本屋をあとにして、Fortnum & Masonへ。紅茶はすでに買いましたが、友人がそこのスコーンがとても美味しいからぜひ食べて!とのことで。英国本場のスコーンにうきうきしながら向かうと、そこにあったのはデパートでした。てっきりワンフロアの紅茶のお店をイメージしていたので建物の大きさにびっくり。そして茶葉だけでなく惣菜から野菜、缶詰、ティーポットにティーカップ、それから美容品までなんでもござれの品揃いにもとてもびっくりしました。
もう時間も遅く店内のカフェは閉まっていたため、地下の惣菜売り場のベーカリーでスコーンを買って食べました。バターの香りが口いっぱいに広がって、クリームもジャムもなくてもぺろっと食べられてしまう美味しさでした…!
食器のフロアを見ているうちに閉店時間になり、格好いいドアマンに促されて外に出て、改めて建物を見るとクリスマスシーズンの飾り付けをされて、まるでプレゼントのようで、クリスマスまで窓のアドベントカレンダーが1日ごとに灯されていく様子はきっと胸が躍るような光景だったのでしょう。
この日はこれだけでは終わりません!Picadilly stから少し歩くとHyde Parkがあり、クリスマスシーズンにはWinter Wonderlandが開催されています。公園の中にお祭りとディズニーランドを持ってきたような、冬限定の遊園地です。もう6時もすぎてすっかり夜でしたが、たくさんの人が入場していて冬の夜はまだまだこれから、といった様子。露店で綺麗なアクセサリーを買って、チュロスをつまみながら遊園地の中を歩きました。
ゲームの景品にたくさんの大きなぬいぐるみが用意されており、道で見かけた子供たちが持っているぬいぐるみはここで手に入れたんだな、とほっこりした気持ちになりました。
Hyde Parkはとても広くWinter Wonderlandが開催されているのは一部分だけなので、他の区域の静けさや暗さとWinter Wonderlandの賑やかさの対比が印象的でした。
Winter Wonderlandをぐるりと周り、夕飯を食べに行きます。私はどうしても英国のパイを食べておきたかったので、友人が近くのパブを探してくれました。
私はお肉のパイを注文し、そして友人はかのSunday Roastを注文しました。英国のパブの日曜日といったらこれですよね!(これなんです!)
運ばれてきたパイは掌をくらいの大きさで、そして隣にはこれでもかというくらいのマッシュポテト。ポテトとの格闘、再び。パイ生地は固めで、ナイフ切ると中からとろりと煮込まれたビーフのシチューが。パイ生地をシチューにからめると程よい柔らかさになり、そして塩分控えめのシチューは肉の旨味が凝縮されていて絶品でした。グレイビーソースともよく合い、英国にいったらぜひ挑戦してみてください。なおマッシュポテトには敗北しました。無念。
帰りはホテルまで結構距離があるので、友人が乗ってみたい!とUberでやって来た知らない人の車に乗って帰りました。Uberといえばeatsしか知らなかったのですが、どうやらこっちがもとらしく、でも日本では法律的にできないんだとか…。知らない人の車なのでちょっと怖かったのですが、「音楽好きなのかけていいよ」と言ってくれる優しい人で安心しました。
3日目はこれでおしまいです。さあ、次はいよいよ最終日です。
Commentaires